経済安全保障 economic security 2005 6 7

 安全保障というと、多くの人は、国防や軍事を連想するでしょう。
しかし、それだけでは、不十分なのです。
いや、極端なことを言えば、国防や軍事は、安全保障の一部に過ぎないと思います。
 万が一、アメリカ本土で、テロが起きても、政権が国民から非難されるでしょうが、
アメリカ自体には、大きなダメージとはならないのです。
 アメリカには、もっと注意すべき問題があるのです。
「ドル暴落」や「長期金利の急上昇」が起きれば、アメリカは終わりです。

BANKRUPTCY 1995 by Harry E. Figgie, Jr.
「1995年合衆国破産 H・フィギー・Jr.」
訳者 竹村健一 クレスト社

 この本は、日本においては、平成5年4月10日に出版されました。
1995年に起るであろう「アメリカの財政危機」について、書かれた本です。
 しかし、「1995年の危機」は回避されましたので、この本を、書庫に、しまい込みましたが、
イラク戦争後において、イラク駐留経費が巨額となる見込みになった現在、
また、この本の出番となりました。
 もう、この本は、封印したかったのですが、また、必要となるでしょう。
本の端書きには、こうあります。
「アメリカにおいて、『聖域』と化した福祉予算、助成金のばらまき、
行政機構の肥大化によるコスト増加、選挙での得票しか頭にない政治家。
これが、今のアメリカが抱える問題である。」

さて、「今」のアメリカは、どうなったでしょうか。

「私たちは文字どおり、借りた金と、借りた時間に頼って、毎日を過ごしている」
1985年2月20日、ポール・A・ヴォルカー

ニューズウィーク日本版の10月6日号には、このような記事があります。
「エコノミストたちは、アメリカの金融政策が機能しなくなると警告する。
FRBは、インフレを未然に防ぐために短期金利を引き上げているが、
アジア諸国が、アメリカ国債を買い続けているために、
長期金利は、低水準に張りついたまま。」
「『FRBは、短期金利を操作できるかもしれないが』と、
国際経済研究所の研究員は言う。『長期資金の支配者は中国だ』」
「アメリカ政府が断固たる態度に出られないのは、
財政赤字の穴埋めを外国資金に依存しているからだ。」
 また、別の専門家は、
「『中国は完全にアメリカの急所を押さえている』、
『中国がドル買いをやめたら、長期金利がはね上がり、
資本を安く調達できる時代は終わる』」と言う。





































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